- 森山大道のインスタレーション《Lip Bar》を常設展示。KAMU kanazawaが4つ目のスペース「KAMU L」
- setchu株式会社が設立した私設現代アート美術館「KAMU kanazawa(カム カナザワ)」に、4番目のスペース「KAMU L(カム エル)」が12月12日(土)にオープン。「L」では、スナップショットの名手として知られる日本を代表する写真家・森山大道のインスタレーション作品「Lip Bar」を公開する。
「KAMU kanazawa」は金沢21世紀美術館から徒歩3分、金沢市の中心部に2020年6月開館。現代アートによる日本の文化資源の向上のための作品収集、同時代的に生まれるアートの発信を行い、さらには“拠点となる金沢市”が現代アートの街として発展していくことに貢献する目的で活動している。
作品「Lip Bar」は、2005年に新宿・ゴールデン街で開催されたアートイベント(GAW展 Part5)で、森山は壁に作品を掛けるという従来のスタイルではなく、小さなバーの内側をすべて唇の写真で覆い尽くすというインスタレーションを行った。このときの作品が原型となり、インスタレーション作品「Lip Bar」が誕生。薄暗い部屋の壁に森山の唇の写真が繰り返しプリントされ、森山がとらえる社会の猥雑さや欲望を空間として体感できる。
「KAMU kanazawa」では「Lip Bar」を美術館開館時間帯の11:00~18:00(金土曜は19:00まで)は鑑賞の場として、20:00~24:00(月~土曜)にはバーとして運営。森山のインスタレーションの中でお酒を味わいながら、朝から夜まで金沢の街を舞台にアートを楽しむことができる。さらに今後は「Lip Bar」の展示とともに、定期的に森山の写真集にフォーカスしたプログラムが開催。これまで出版された写真集を掘り下げ、写真集にちなんだ作品の展示やワークショップも開催予定。
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森山 大道 (もりやま だいどう) 写真家
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964 年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967 年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。1968~70 年には写真同人誌『プロヴォーク』に参加、ハイコントラストや粗粒子画面の作風は“アレ・ブレ・ボケ”と形容され、写真界に衝撃を与える。 ニューヨーク・メトロポリタン美術館やパリ・カルティエ現代美術財団で個展を開催するなど世界的評価も高く、2012 年にはニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28 回インフィニティ賞生涯功績部門を日本人として初受賞。2012 年、ウィリアム・クラインとの二人展「William Klein+Daido Moriyama」がロンドンのテート・モダンで開催され、2 人の競演は世界を席巻した。2016 年パリ・カルティエ現代美術財団にて2 度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018 年フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019 年ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。