KAMU×the Heirloom Lifestyle=Cafe & Restaurant Node

時を超えて受け継がれる、美意識と暮らしの風景

家元が運営する「Cafe & Restaurant Node」では、食を楽しむ場にとどまらず、建築、アート、デザインを通じて新しい感性や価値観に出会う場を目指し、空間をギャラリースペースとして再構築しました。その第一回企画展として開催したのが、『the Heirloom Lifestyle ― 継承可能なライフスタイル ―』です。本展では、KAMUの協力のもと、長い時間を人と共に過ごし、愛着や記憶を重ねながら次の世代へと受け継がれていくプロダクトと、そこから生まれる暮らしのあり方を紹介しました。作品やプロダクトとの出会いを通じて、これからの暮らしをどのように楽しむのか、どのような美意識を日常に宿すのかを見つめ直す場となりました。

 

「継承可能なライフスタイル」を提案

「Heirloom(エアルーム)」という言葉には、本来「家宝」や「代々受け継がれるもの」という意味があります。それは必ずしも、手の届かない高価な品や特別な美術品だけを指すものではありません。かつては、一脚の椅子や一枚の布、日々使う食器や道具が家族と共に時間を重ね、暮らしの記憶を宿しながら、親から子へと受け継がれていました。一方、情報やトレンドが絶え間なく更新される現代では、ものを選び、使い、愛着を育てるための時間が失われつつあります。本展で掲げた「継承可能」という言葉は、一般的な「持続可能性」を、より個人的で情緒的な視点から捉え直したものでした。単に丈夫で長く使えるという機能性だけではなく、持ち主の愛着によって価値が育ち、時間の経過とともに暮らしに深く馴染んでいくこと。本展では、そうしたものとの関係性や、暮らしに向き合う姿勢そのものを提案しました。

 

フィンランドのモダンデザインを紹介

第一回企画展では、1950年代以降のフィンランドのモダンデザインに焦点を当て、特にその思想が色濃く表れたガラス製品を展示しました。会場には、カイ・フランク、ティモ・サルパネヴァ、タピオ・ヴィルカラという三人のデザイナーが、イッタラやアラビアなどのブランドを通じて生み出したプロダクトが並びました。誕生から半世紀以上を経ても古さを感じさせない佇まいは、流行に左右されないデザインの強さと、良いものを長く使い続けることの豊かさを伝えるものでした。

 

カイ・フランク
誰もが美しい日常を享受できるデザイン

カイ・フランクが追求したのは、装飾や無駄を削ぎ落とし、日常の中で長く使うことのできる合理的なデザインでした。限られた空間や予算の中でも、機能的で美しい道具を選ぶことで、誰もが質の高い暮らしを実現できる。その思想は、デザインを一部の人だけのものではなく、広く日常へと開いていく考え方につながりました。

 

ティモ・サルパネヴァ
日常の所作を、アートの体験へ

ティモ・サルパネヴァは、食事や料理といった日常の営みを、特別な美的体験へと変えるプロダクトを生み出しました。実用品でありながら彫刻のような存在感を備えた作品は、日々の生活にアートを取り入れることの喜びを示していました。

 

タピオ・ヴィルカラ
自然の息吹を暮らしの中へ

タピオ・ヴィルカラは、氷や水、樹木、石といったフィンランドの自然から着想を得て、その形や手触りをプロダクトへと落とし込みました。自然とのつながりを感じさせる造形は、機能や利便性だけでは得られない情緒的な豊かさを、生活空間にもたらすものでした。

 

鑑賞するだけでなく、暮らしの中で使う

本展で紹介したのは、飾って眺めるためだけのアートピースではありません。日々の食卓や生活空間で実際に使うことができ、製品として高い完成度を備えながら、今日まで大切に受け継がれてきた希少なプロダクトを選定しました。これらの多くは、誕生からすでに約70年という時間を経たものです。会場では、作品を鑑賞するだけでなく、来場者が自らの手で選び、暮らしの中へ迎え入れることができる展示販売も行いました。ものを所有することではなく、使い続け、記憶を重ね、次の世代へと受け継いでいくこと。本展は、未来の遺産を自らの手で育てるという、豊かな暮らしのあり方を提示する機会となりました。

 

Cafe & Restaurant Nodeを、感性が交わる場へ

Cafe & Restaurant Nodeは、家元が運営する、食と空間、アート、デザインを横断する場です。「Node」という名前には、人やもの、文化、感性がつながる「結節点」という意味が込められています。今回の企画展では、Nodeをカフェやレストランとしてだけでなく、作品との出会いや対話を生み出すギャラリー空間として再構築しました。飲食とアートを一つの空間の中で体験することで、日常の延長線上に新しい美意識や価値観と出会う時間を生み出しました。

 

KAMUとの協働

本プロジェクトでは、金沢を拠点に現代美術を紹介するKAMUと協働しました。KAMUが持つアートの視点と、家元が考える建築、空間、暮らしの思想を掛け合わせることで、プロダクトを鑑賞するだけでなく、所有し、使い、次の世代へと受け継ぐことの価値を提示しました。アートと暮らしの距離を縮め、日常の中に文化的な体験をつくる試みとなりました。

 

プロジェクト概要

企画展名
the Heirloom Lifestyle ― 継承可能なライフスタイル ―

会期
5月2日(土)〜7月5日(日)

会場
Cafe & Restaurant Node
石川県金沢市問屋町1-27-1

内容
フィンランドのヴィンテージプロダクトを中心とした企画展示・販売、Nodeオリジナルスイーツ・ドリンクの提供

主催
株式会社家元

企画
KAMU

空間・運営
Cafe & Restaurant Node

GALLERY

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