2018.05.21
上棟式で「おかめ」を飾る深~い理由
こんにちは!
皆さま、新築の現場で「おかめ」が飾られているのを
見たことはありませんか?
なぜおかめさんを飾るのか、それには深~い理由があります。
今からおよそ750年前、
高次という腕がいいと有名な棟梁とその妻 阿亀(おかめ)が住んでいました。
高次は強い信念を持ち、腕も優れ、
また妻のおかめはふっくらとした顔立ちのとおり、心優しく夫を助け、
夫のまわりに集まる人には隔たりなく接したので高次の人望は高まるばかりでした。
そのころ、当時の名僧 義空上人(奥州藤原秀衛の孫)が
千本釈迦堂の本堂を建立することになり、高次が大工工事の棟梁に選ばれました。
高次の力で大工工事は着々と進んでいきましたが、高次はある失敗をしてしまいます。
寄進された大切な4本の柱のうち1本を誤って短く切り落としてしまったのです。
めでたい上棟式を目前にひかえ、柱さがしに奔走しましたが良いものが見つからず、
高次は思い悩んでいました。
妻のおかめはいち早く状況を察し、事態の解決を願って昼夜の祈りをはじめました。
ある朝、おかめは御仏から思いつきを授かります。
「短くなった柱はどうにもできないから全部の柱を短く切りそろえ、
その柱の頂上に(ますぐみ)をつけてその短所を補えばいいのでは」と、
夫である高次に提案したのでした。
高次にとってこのひと言がまさに救いとなり、事態を乗り越え、
ゆるやかな屋根、どっしりとした安定感をもった骨格が見事にできあがったのです。
そして、厳粛なる上棟式が行われました。
この日を楽しみに境内は人で溢れました。
しかしこの素晴らしい日に、高次は悲しみと喜びで涙が止まりませんでした。
誰よりも喜んでくれるはずのおかめはこの日を待たず自らの命を断ち
御仏のもとへと旅立っていったのです。
夫高次の成功のため本尊さまに対して
「苦難が解けて工事が進展するならば私の命はおしみません」と
秘かに誓願をかけたからです。
義空上人は夫の名誉に命を捧げ、貞淑で才智に長けたおかめの徳を讃えたのです。
そののち、建物の新築や改築のとき施主と工事関係者は、
上棟式にはともに工事の安全を祈り、
祈願の「おかめ面」「おかめ御幣」を飾るようになりました。
おかめは、「美人」「女徳」の象徴として、女一代の災難を転じて、
幸福をもたらし、良縁、子授け、夫婦円満などに功徳が大きいのです。
いかがでしたか?
上棟式や地鎮祭ではいろんな風習がありますが、
その一つ一つには意味があり、由来があるということに
感動いたしました!
これからおかめを見かけたら、この夫婦のお話を思い出してみてください。